イケアの広告動画に,こんな例を見つけました:
It's not a digital book, or an e-book.
It's a book-book.
これは,デジタル書籍じゃないし e-ブックでもない.
これは,本の本だ.
book(本)という単語を2回重複させて book-book という単語をつくっているのがわかります.この単語で言わんとしていることは,わかりやすいですね:「電子書籍ではない昔ながらの紙でできた本」くらいのことを言わんとしているのだと理解できます.
『言語における意味』でも,こうして重複させる事例に言及があります.著者によれば,こうした反復の事例のなかには「あるものの典型例または中心的,あるいは理想的な例」を表すものがあるといい,いまの例はまさにこれに該当しています.もうちょっと著者の解説を読んでみましょう:
反復の事例のなかには,あるものの典型的または中心的,あるいは理想的な例を合図する効果をもつものもある.ぼくの義母は C'est du café café(これはコーヒーのコーヒーね)と言ったりする.これが意味するのは,即席コーヒーとかじゃなくて,本当の,あるいはちゃんとしたコーヒーのことだ.また,ぼくが彼女にあるフランス語の表現が正しいかどうか質問すると,C'est correct, mais ce n'est pas correct correct(正しいわよ,でも正しく正しいわけじゃないわね)なんて返事をすることもある.古典的なフランス語の純粋な表現じゃあないって意味だ.お眼鏡にかなうほどじゃないけど,日常のフランス語としては許容できるというわけだ.こうした事例から,同義の表現を繰り返したからといって,必ずしも冗長になるとはかぎらず,特別な意味をもたらすはたらきをする場合があるのだとわかります.
(クルーズ,『言語における意味』,p.235)
くわしくは,本書の第9章「統合的な意味関係」をどうぞ.(宣伝,宣伝)
追記:Twitter 上で Metalinguisticさんから,次の文献をご教示いただきました:
- Jila Ghomeshi, Ray Jacknedoff, Nicole Rosen, and Kevin Russell, "Contrastive focus reduplication in English," Natural Language and Linguistic Theory 22, pp.307-357, 2004. [Online: PDF]
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